紙芝居で子どもたちに地域への愛着や誇りを~春野町楽しい図書館をつくろう会~
高知市春野町には、地域の昔話や伝承を紙芝居にして残し、後世に伝えていこうと活発に活動している団体「春野町楽しい図書館をつくろう会(以下「同会)」がある。
はじめに
前身は、1979年に旧春野町公民館の活性化町立図書館建設活動推進の一助になればと国庫補助事業を受けて、当時の職員が発足させた春野読書会。同会の初代会長でもあった故上田純子さんを中心に読書会が行われていた。
その後1995年に旧春野町の「新図書館基本構想策定委員会」が設置され、徳島県藍住町立図書館を見学に行った帰りのバスの中で、参加者の話が進み同会が発足した。現在メンバー数9名の団体だ。
活動内容
同会は、1997年の新図書館開館までに、新図書館PRの講演会やおはなし会を旧町各地の公民館・集会所で開催し、設計案に対する変更具申なども行い、開館以降、図書館で第2第4土曜日の毎月2回、おはなし会を開催している。
1998年からは、手作り紙芝居の制作に取り組み、2020年10月30日年現在15作品が制作された。紙芝居の制作にあたっては、上田さんが資料を読み込んだり、当時のことを知っている古老に直接話を聞いたり、物語の現地に幾度も足を運び調査している。
紙芝居の絵は、メンバーで上田さんの長男の美知裕(ペンネーム:フナムシ)さんが担当。文・絵ともに高知県立歴史民俗資料館の元館長の宅間一之先生の監修を受けている。
そして、制作した紙芝居は高知新聞厚生文化事業団やキリン福祉財団などの助成を受けるだけでなく、バザー収入などで複製され、高知市立春野市民図書館(以下「分館」、2008年旧春野町は高知市と合併し分館となった)に7作品、本館のオーテピア高知図書館に10作品が納品されている。
同会では、地域のお祭りやイベントに合わせ、紙芝居の舞台となっている現地のお地蔵さんの前や神社境内などで、この紙芝居を使ったおはなし会を開催している。また、町内の保育所や学校などでも「出張おはなし会」を精力的に行っている。
2009年からは、同会のメンバーが中心となって「はるの図書館運営委員会」を組織し、分館の運営を受託している。
評価
同会の活動が評価され、2018年には高知市長表彰の教育文化の部で表彰されるとともに、2020年3月には、子供の読書活動優秀実践団体として文部科学大臣表彰を受けている。
現状と今後の課題
会長の上田純子さんは、残念ながら昨年お亡くなりになり、その後を森澤三佳さんが継いでいる。20年以上の素晴らしい活動実績を誇る団体だが、メンバー構成は40代から80代と高齢化は否めず、次世代へのバトンタッチや資金不足が課題となっている。
春野に伝わる民話や伝承を次の世代に伝え、地域の子どもたちに地域への愛着や誇りを持ってもらうために、会のメンバーは一緒に活動に参加してくれる方を求めている。
(森岡)
(春野町市民図書館20周年記念誌より)
問い合わせ先
春野町楽しい図書館をつくろう会
高知市春野町西分340 高知市立春野市民図書館内 電話番号088-894-5554
地域に根ざして42年。南国市で活動する「手話サークルおながどり」
〜手話を学んで、使って、コミュニケーションの輪を広げてみませんか〜
ニュースや記者会見で、話者の隣に手話通訳者が立ち、一つの画面におさまって放送されているシーンを見かける事があります。
手話は聴覚障害者(以下ろうあ者)の生活の中から生み出されてきた言語で、手や体の動きなどでコミュニケーションを取る方法です。同じ表現方法でも、表情や口の形、位置や方向、強弱などで意味あいを持たせています。
南国市を拠点に活動している「手話サークルおながどり」(以下おながどり)会長 笹岡修さんにお話を伺いました。
歴史
おながどりは、昭和53年(1978年)、南国市で活動を開始しました。会員は当初こそ30名程いましたが、時を経るに従い減少して一時は数人程度になってしまい存続が危ぶまれる状態になりました。そこで平成6年(1994年)から「初級手話教室」を開催し、初心者に手話を教えてサークルの維持と底辺の拡大を目指しています。会員の入れ替わりはありますが、現在は約28名で活動しています。
主な活動
私たちは毎週火曜日(祝日はお休み)の、午後7時30分~9時まで大篠公民館で定例会を行っています。現在は、月ごとに先生役の担当を決めて、しりとりやことわざを使った手話などゲーム感覚で楽しく学んでいます。
6月から12月の半年間、初級手話教室を開催していますが、生徒募集のお知らせは南国市の広報誌に載せています。
ボランティア活動
南国市で毎年開催されている「なんこくボランティアDAY」・「ごめんな祭」・「まほろば祭り」など地域のイベントに参加し、手話コーラス(3〜4曲)を披露しています。また、「ごめんな祭」のオープニングセレモニーでは手話通訳者として登壇しています。
また、平成22年12月と平成28年11月に、日頃からの継続的な活動を評価していただき、ボランティア功労者に対する厚生労働大臣表彰の感謝状をいただきました。
子ども達への指導
週に1回ですが、南国市立香長中学校「手話部」の顧問として、手話の指導に行っています。部員は女子生徒が多く、大人より覚えも早いです。依頼があれば、小学校や中学校、高校に行き、手話の講演や体験学習の指導もしています。
福祉施設へ慰問
昨年は南国市の介護老人保健施設の敬老会に呼ばれ手話コーラスを披露してきました。ご高齢の方が多いので「南国土佐を後にして」、「瀬戸の花嫁」、「サライ」を選曲しました。中には懐かしそうに口ずさむ方もいて嬉しかったです。
ろうあ者の声を提言
平成14年5月ろうあ者のメンバーが出勤途中、交通事故に遭遇し110番や119番に連絡しようと携帯電話を手にしましたが、当時のメール機能ではできなかったそうです。彼は「携帯電話は便利で素晴らしい道具だと思っていたのに、緊急時には何の役にも立たなかった」と残念がっていました。その出来事を高知新聞に投稿したところ、高知県警察本部生活安全部地域課長より紙上にて返事をいただき、対話型メール110番という言語・聴覚障害者を対象にした携帯電話からの文字送信による110番通報が運用されることになりました。通報アドレスに打ちこむと特殊サーバーに接続され選択式で問いに答えながら県警の通信指令室に通報できるシステムです。一人のろうあ者の声が県警を動かし、新システムの開発に繫がりました。
コロナ禍で変わったこと
マスクを着用していると、ろうあ者は口の動きを読み取ることができません。聞こえない・聞こえにくい人たちにとって口形はコミュニケーション補助の一つです。おながどりでは、感染防止の為に透明のフェイスシールドを着用しています。
簡単な手話を覚えてみよう!!
両手の指を曲げる
腕をトントンたたく
中指と薬指を曲げる
サークルメンバー募集中
今年はコロナの影響で一時例会を休止し、初級教室の募集もできませんでした。
メンバーは南国市を始め、高知市や香美市などからも参加しています。年齢は小学生から60代と年代もさまざまですが、みんながとても仲の良いサークルです。
手話は決して難しい言葉ではありません。やる気と根気さえあれば誰でも覚えられます。「やってみようかな」と思ったら、一度サークルに遊びに来てください。見学は無料です。みんなで大歓迎します。
(うらい)
問い合わせ先
手話サークルおながどり 連絡先:090-7146-0120(笹岡)
定例会:毎週火曜日7:30〜21:00(祭日・お盆・お正月を除く)
会 費:300円/月(半年毎に前納)・学生無料
「天国からの寄付ぎふと」寄付先団体Part2
【寄稿】三嶺の森をまもるみんなの会 代表 依光良三
市民活動団体が活動を継続していくうえで運営資金をいかに確保するかが大きな課題となっており、資金確保の仕組みとして「寄付ぎふと」プロジェクトがあります。今回は、寄付先団体より「三嶺の森をまもるみんなの会」代表の依光良三さんに寄稿していただきました。(うらい)
傷つき痛む貴重な自然林
物部川源流に立地し、高知県下最大の貴重な原生的自然林を宿す三嶺(1894m・剣山系)の山々は、2000年代初頭までは美しく森林機能の高い盤石の森でした。それがシカの急増とその食害によって、信じられないほど三嶺の森は傷つき痛んでいます。激しい被害を受けた2005年~2012年には稜線部のササ原の大半と樹木の7割までが深刻な被害に遭いました。やがて、行政によるシカの「管理捕獲」によって新たな被害は減少してきましたが、原生的樹林内の林床裸地化・荒廃はひどい状態が続き、特に原生林エリアではスズタケと稚樹・灌木類が壊滅したことにより、森林生態系と水土保全機能の著しい衰退によって傾斜地の崩壊と土砂流出が深刻化の一途をたどっています。
貴重な自然の再生を目指して
私たちは、「激しい被害期」に危機感を抱き、環境保全団体が結集して2007年8月に「三嶺の森をまもるみんなの会」を設立しました。研究者や学校、市民・住民の参加、そして行政とも連携協働し、保護と再生を目指して、みんなで以下(※)の多面的な活動に取り組んでいます。
活動の成果
防鹿柵やマット等、設置箇所では着実に植生が蘇り、ブナ等の植樹も次世代の育成につながっています。町でのシンポジウムや写真パネル展等は普及啓発効果を上げ、山行事でのボランティア参加と共に、大切な三嶺の森をみんなで守ろうとする意識を高めています。そして、たくさんの方々の参加と協力のもとに会の活動は高い評価を受け、環境保護関連の賞を頂いたり、2019年1月には「日本自然保護大賞」を受賞しました。
寄付金の使い方、感想
「天国からの寄付ぎふと」の寄付金の使途は、香美市こどもエコクラブ等児童環境教育用の資材(ブナ、ミズナラ等の植樹用手鍬と支柱、下刈用刈込鋏)の購入に充てさせて頂きました。
自己資金の乏しい当会にとって、ほんとにありがたい限りで、活動をスムーズに展開することができました。
大切な人を見送られた方からのご芳志に厚く感謝し、会員一同心から御礼申し上げます。
1.山現場での取り組み(植生保護・再生のための活動)
①樹木ネット巻き(約7000本)、防鹿柵設置(約60カ所)、土砂流出防止のためのマット設置等の活動を公募ボランティアも含め実施(過去36回、延べ3611人参加)
②調査・観察・記録活動(高知大グループを中心に防鹿柵内外及びマット設置区域での植生回復状況の調査・記録)
③児童環境教育への協力(香美市こどもエコクラブ、小中学校児童対象に、現場案内とネット巻き、植樹体験等を実施)
2.普及啓発活動 情報発信・共有、再生対策の方向性検討
①シンポジウム&公開報告会(毎年開催して全21回実施)
②写真パネル展(狩猟フォーラムやジビエフェスタ等会場等で年7~8回実施)
③環境教育用DVD、結成10周年記念冊子「シカ食害で痛む三嶺の森」等、普及本の作成・発行
問い合わせ先
三嶺の森をまもるみんなの会
http://sanreiminnanokai.web.fc2.com
サポートセンターで「Wi-Fi」が使えます!
【寄稿】特定非営利活動法人NPO高知市民会議 理事 藤島 和典
新型コロナウイルスの影響を受け、これまで同様の活動ができない状況が続く団体は少なくないと思います。WEB会議ツール「Zoom」を使って、オンライン(インターネット経由)で打ち合せや会議など、団体の活動を広げてみませんか。
●Wi-Fiってなに?
Wi-Fiとは、ケーブルいらずの無線でお互いに通信ができるコンピュータ・ネットワークの規格のことです。スマホやパソコン、テレビなど家電を相互に接続したりすることができます。
●Wi-Fiでできること
最大のメリットは、場所を選ばず、移動可能ということです(電波の届く範囲に限る)。キッチン、寝室、お風呂と場所を問わず、パソコンやスマホで手軽にドラマや映画を見ることができます。
次に、たくさんのスマホやパソコン、機器を同時に接続できることです(同時接続数には上限がある)。たくさんのケーブルが床や壁を這い回り、ドアが閉まらない!ということがありません。
「Wi-Fi」でこんなことやってみました!
8月26日(水)午後6時半から高知市市民活動サポートセンター(以下、サポセン)大会議室で、「高知発!地域課題に挑戦するミレニアル世代の新コミュニティ」をテーマに、まちづくりトークcafèを開催しました。ゲストスピーカー(話題提供者)は、「まんまる高知」共同代表の山本美咲さん(高知市職員)。現在、経済産業省中心市街地活性化室に出向しています。
サポセンにWi-Fiが整備されたこと、山本さんが東京都内在住ということもあり、今回初めてWEB会議ツール「Zoom」を使って開催しました。参加者はサポセン大会議室に集合した15名と高知市内からオンラインで参加した1名です。
山本さんは、2019年10月、東日本台風(台風19号)で大きな被害を受けた長野県への被災地支援ボランティアバスツアーを企画実現しました。そのつながりから、高知県における様々な地方課題の解決を目指すミレニアル世代を中心としたコミュニティ&活動チーム「まんまる高知」を仲間と一緒に立ち上げ、現在、共同代表を務めています。当日、もう一人の共同代表・楠瀬まどかさんも高知市内からオンライン参加し、「まんまる高知」というコミュニティを動かしていく思いや悩みなどを率直に語ってくれました。サポセン会議室にリアルに集まった参加者から、「仕事のスキルをNPOの活動にどのように活かせばいいでしょうか」「自分がやりたいこと、好きなことをする時間を増やしてみて」など活発なトークが繰り広げられました。
インターネット会議を体験しましょう!
10月17日Zoom基礎講座を開催。「Zoom会議に招待されたがうまくいかなかった」「自分でZoom会議を主催してみたい」という8人が参加。スマートフォンとノートパソコン計19台の端末でZoom会議を体験しました。
「ブラウザってなに?」「サインインとアカウントとメールアドレスの違いは?」など基礎講座ならではの悩みや困り事を解決しながら、招待されたZoom会議に全員が参加しました。最後に、自分が主催者(ホスト)として新しいZoom会議を開催するという目的も達成しました。
高知市市民活動サポートセンターの会議室利用方法などは、ホームページをご覧ください。http://www.kochi-saposen.net