えぬぴいOh!vol.75(2020年夏号)_web版

学生から高知を盛り上げる?~里人(さとびと)と地域が織りなす物語~

【寄稿】高知大学地域協働学部3回生 株式会社里人 学生取締役 松尾(まつお)真太郎(しんたろう)

 最近「学生の起業」をよく耳にしますよね。高知でも学生が起業し、大学生と地域との関わりを育む会社があります。どんな事業をしているのか、どんな経営を行っているのかについて、高知大学地域協働学部3回生かつ株式会社里人の学生取締役である松尾真太郎さんに寄稿していただきました。(高知大学 杉本沙栄子)

株式会社里人

 株式会社里人は、2017年に設立され、今年度で4年目の企業です。現在は高知大学の近くで店舗を構えカフェ事業を行っています。また、高知県大豊町の完熟ブルーベリーを使用したワインの販売もしています。

Cafe satobito

 「Cafe satobito」という店舗を朝倉駅前に構えカフェ事業を行っています。現在はテイクアウトのみで、火・水・金の11時から14時まで営業しています。高知県内で採れた野菜やその他の食材を使用し、少しでも生産者の方に貢献できるように取り組んでいます。メニューのほとんどは学生が考案したもので、買い出しから調理・販売に至るまで全て学生の手で行っています。昨年からは新たに手作りスイーツの販売を開始し、地域の方々や学生の方にも購入していただき非常に好評です。

Cafe satobitoのテイクアウトメニュー

大豊町のブルーベリーワイン

大豊町のブルーベリーワイン

 さらに里人は、高知県大豊町の完熟ブルーベリーを使用したワインを学生と地域が手を取り合い生産から販売までを行っています。大豊町のブルーベリーを使用したワインを製造しているのは高知県内でも里人のみです。昨年度、こちらは「にっぽんの宝物グランプリ」という全国規模の大会において部門別日本1位を獲得いたしました。

会社に大事なのは信頼!!

 「商売が人を作るのではなく、人が商売を作る」

これは私が会社を経営する上で最も大切にしている信念です。

 そのため、私はいつも従業員にこの言葉を伝えています。会社である以上、実利も大事ですが、それ以上に「人からの信頼」は大切だと思います。これは私が今までの体験から学んだことです。

 経営の中で、何より難しいのはマネージメントだと感じています。互いに信頼を築いていくということが里人での活動で最も重要だと私は考えています。

里人をよろしくお願いします!!

車内販売中♬(画像左:松尾さん)

 里人という素晴らしい会社や仲間に出会い、販売のノウハウや、経営の難しさなどを多く学ぶことが出来ました。今後とも株式会社里人を何卒宜しくお願い致します。

問い合わせ先

Cafe satobito

〒780-8072 高知市曙町2丁目4番30号 あかつきビル1階西
電話番号 088-802-8480 instagram cafe_satobito Facebook @satobitoshop

すべての人を「本」の世界へ ~声のボランティアから~

オーテピア高知声と点字の図書館

 オーテピア高知声と点字の図書館(以下「声と点字の図書館」)は、高知点字図書館として、昭和42年に高知市民図書館に併設で整備され、様々な理由から本を読むことが難しい方への支援や情報提供を行ってきました。

 現在は、オーテピア高知図書館(高知県立図書館と高知市民図書館)(2~4階)及び高知みらい科学館(5階)とともに、旧追手前小学校跡地に立地した複合施設「オーテピア」の1階に平成30年7月に整備されています。

 点字図書館といえば、目の不自由な方が利用するイメージがあると思いますが、点字を読める方は視覚障碍者の1割ほどで、高齢や発達障碍など様々な理由で文字が読めない方も多く、多くの方々が「声の本」録音図書を利用しています。このため、オーテピア整備に合わせ名称が改められました。

バリアフリー図書で読書をサポート

 声と点字の図書館は、「文字情報の利用困難な方への読書・情報環境の充実」や「視覚に障碍がある人の生活支援のための情報提供の充実」「県民・市民との協働による読書・情報サービスの充実」を運営方針に掲げ、高知市のみならず高知県下全域の読書困難者への読書支援を推進しています。

 市販のバリアフリー図書は種類や数が非常に少なく、バリアフリー図書のほとんどは全国のボランティアによって製作されています。現在の利用者は、登録者698名(6月10日現在)。まだまだサービスを求められる方々の希望に対応しているとは言えません。
そこで、声と点字の図書館とオーテピア高知図書館が協力して「対面音訳サービス」を行っています。このサービスは、文字通り利用者と音訳者が対面して図書や資料を読み上げるというものです。

点字図書蔵書数:345,000冊タイトル数:10,000冊
録音図書
(活字図書を音声で読み上げ録音)
CD:7,547枚カセット:51,420巻
マルチメディアデイジー図書
(PC、タブレット等で音声を聞きながら画像や文字を見る)
463枚
バリアフリー図書サービス(平成31年3月末現在)

対面音訳ボランティア

 対面音訳サービスは、6室ある対面音訳室の静かな環境の中で行われます。利用実績は年間1103回に及びますが、対面音訳を行ってくれる登録ボランティア(以下「ボランティア」)は99名です。現在は、新型コロナウイルス感染対策のため携帯音訳サービス等で対応しています。
ボランティアをしている井上智子さんは、「ボランティアのチラシを見たことがきっかけで18年間続けています。文字だけでなく、表やグラフ写真などの説明も行います。私見を交えず求められる情報だけを提供するよう心がけています」と話してくれました。なお、利用者からは同性・同年代等のボランティアを希望するリクエストもあるようです。

 声と点字の図書館では、ボランティア養成講座も開催しています。

あなたの声で、すべての人を「本」の世界へ誘うお手伝いをしてみませんか。

(森岡)

問い合わせ先

オーテピア高知声と点字の図書館

〒780-0842 高知市追手筋2-1-1 TEL:088-823-9488/FAX:088-820-3218
電子メール:kc-120200@city.kochi.lg.jp URL https://otepia.kochi.jp

携帯電話・スマートフォンはこちらから

21年目、風通しのよい図書館づくりを森の中で ~高知城のふもとに引っ越しました~

【寄稿】認定NPO法人高知こどもの図書館 理事 刈谷(かりや)明子(あきこ)

 20年近く永国寺の図書館として、こどもから大人まで長らく親しまれてきた高知こどもの図書館が、引っ越ししました。
 リニューアルした図書館への思いを、寄稿していただきました。(のむ)

本 こども NPO

 当館は、家庭文庫であったホキ文庫を母体としてスタートしたNPO法人運営による公共の図書館です。1998年に特定非営利活動促進法が施行されたことと、設立前団体「高知こどもの図書館をつくる会」の動きのタイミングが重なり、1999年に法人格を取得、同年12月に「NPO法人高知こどもの図書館」を開館しました。(※1)現在、NPO法人の認証を受けて活動している文庫は7件あるそうですが(※2)、そのはしりといえます。

 ※1『本 こども NPO高知こどもの図書館5周年記念』(南の風社)参照
 ※2『子ども文庫の100年 子どもと本をつなぐ人びと』(みすず書房)参照

こどもの文化を支えるあらゆる活動

 名称に“こどもの”とつくので、小さい人と保護者だけの場所と思われがちですが、そうではありません。館内での図書館活動を基本として、読書ボランティア養成講座(高知県教育委員会からの受託事業)、こどもの本にまつわる著名人を招いての講演会、図書館のない地域に模擬図書館を開設する「巡回こどもの図書館」事業、東日本大震災で被災したこどもたちに絵本を届ける活動への協力など、“こどもの本”を核とした文化活動を幅広く行ってきました。

運営は、会費と寄付金に支えられています

 2011年に新寄付税制が施行され、当館は2014年に認定特定非営利活動法人格を取得し、5年ごとの更新のため、昨年更新を行いました。2019年度は、34の団体会員(正会員、賛助会員)と511口の個人会員の方にご支援いただき、その他様々な団体、個人様からの寄付金に支えられて運営を行うことができています。この場をお借りして、皆様のご支援に厚く御礼申し上げます。

図書館の在り方を変えていく

 2019年は、開館20周年と移転が重なった大きな節目となる年でした。施設の耐震基準を満たすため、高知県立公文書館1階に移転をすることになったのです。これを機に、建物のハード面だけでなく、館のコンセプト、運営の在り方、これからの時代に必要とされる図書館の機能を大きく変えていくための議論を、総務省地域情報化アドバイザー支援制度事業を活用して、専門家の方にご意見を伺いながら行いました。

アカデミック・リソース・ガイド㈱の岡本まこと氏を迎えての勉強会

森の図書館へお引越し

 20年間で1万5千冊から3万8千冊に増えていた蔵書を、絵本、児童書を中心に2万冊に絞り、除籍した本を活用してもらえるよう、リサイクルお譲り会を実施しました。中には、チェコにいる孫に送ります、という方もいらっしゃり、たくさんの本がそれぞれのおうちへ旅立っていきました。

 引っ越しにあたり、除籍作業を含めた事前の荷造りや移転先のレイアウト検討など、あらゆる場面でボランティアの皆さんに多大なご協力をいただきました。また、当日の引っ越しは、高知法人会の皆様のおかげで荷運びがスムーズにでき、一日で無事に引っ越しを終えることができました。

 その後、4月1日に無事開館と思いきや、思わぬコロナ禍によって休館となってしまいました。しかしその間にも、図書管理の電算化を進めてバーコード貸出ができるように整え、すべての図書をきれいに拭き上げるなど、自粛期間中にできることを進めてきました。

除籍した図書のリサイクルお譲り会

「まちファン」活用で館内スペースを広く

 施設の整備面では、公益信託「高知市まちづくりファンド」に申請し、拠点整備コースで98万円の助成をいただくことができました。

 YA(ヤングアダルト)コーナー、研究資料室とギャラリーあとりえほんの間に設置されている可動式の不燃パーテーションは、音楽会などのイベント時にパーテーションを壁に移動させることで、会場のスペースを広くとることができます。

 また、同じ部屋の別壁にあたる場所にはスチール書架を設置し、およそ2千冊収納できる仕様となっています

協働、学び、集いの場としての図書館

 図書館としての機能は、図書管理システム導入により、図書館外からも蔵書検索ができるようになります。また、選書基準に基づき、「実際に読んで」選んだ本を揃えることは、これからも続けていきたい活動の一つです。

 それに加えて、関わってくださっているボランティアさんが図書館の専門的なことを学べる場として機能すること、他団体と協働して公共の図書館の枠を超えた取り組みにチャレンジしていくこと、それらを通じて人が集う場所として機能することを目指しています。やりたいことはまだまだ尽きず、安定した財政基盤の確立と運営の力を高める必要性をひしひしと感じています。

森の図書館へようこそ!お気に入りの本を手にしたスタッフたち。

問い合わせ先

認定NPO法人高知こどもの図書館(開館日時:金・土・日・月曜日10:00~17:00)

〒780-0850 高知市丸ノ内1の1の10 高知県立公文書館内 
HP:https://kodomonotoshokan.org/ FB:Npo法人高知こどもの図書館 で検索

「天国からの寄付ぎふと」寄付先団体Part1

【寄稿】NPO法人こうちサポートネットウィン 代表 山波(やまなみ)嘉津雄(かずお)

 市民活動団体が活動を継続していくうえで、運営資金をいかに確保するかが大きな課題となっています。そこで、資金確保の仕組みとして「寄付ぎふと」プロジェクトがあります。今回は、「天国からの寄付ぎふと」の寄付先団体「NPO法人こうちサポートネットウィン」代表の山波さんに寄稿していただきました。(浦井)

団体の紹介

 私どもNPO法人こうちサポートネットウィンでは、不登校児童生徒や高校を中途退学された方、また引きこもり傾向にある方々を中心にフリースクール(進路支援)、フリースペース(居場所支援)、メンタルフレンド(訪問支援)を行っております。

 「近くに相談できる人はいますか?」「子どもの悩みを私達と一緒に考えてみませんか?」私たちウィンは一人ひとりのペースに適した個別サポートを行っています。学習支援や訪問支援をはじめ、心の安定と自信の回復を大切に活動しています。そこには、子どもたちと通じ合う心のふれあいがあり、このような環境から子どもたちは自分の目標に向かって、次のステップへと大きく羽ばたいていくものだと信じています。

活動紹介

 不登校児童生徒におきましては、本人への支援はもちろんのこと、保護者へのサポート、学校や関係機関との連携を図り、総合的支援を目指しております。また、高校を中途退学された方、引きこもり傾向にある方におかれましても、今、何にお困りになっているのか、どういった支援が効果的か、をしっかり見極めることからスタートし、関係機関と連携をとりながら支援を行っております。

理解者になることが最優先

 ウィンでは、生きづらさを抱えた子どもたちのご家庭訪問(メンタルフレンド事業)も行っています。子どもが心を閉ざしている時、一番大切なのは理解者の存在です。無理に子どもを変えようとするのではなく、まずはウィンのスタッフがお子さんや親御さんの理解者となり寄り添っていく事を大切にしています。

フリースペースウィンを開設!

 2019年9月に、あたらしい子どもたちの居場所として、フリースペースウィンを開設しました。家でもない、学校でもない、第3の居場所として、子どもたちが自分らしく安心して過ごせる場所を目指して作りました。目的なく、いつ来てもいいように、土日祝日を除く14~22時まで開放しています。本や楽器の用意だけでなく、本校の生徒や地域住民の方々が一緒に壁塗りをしたりと、様々な人の温かな思いが詰まっています。

親も子も、いつでも気軽に相談できる

 子どもたちは多感な時期ゆえ、様々な不安を抱えることがあります。「学校に行きたくない」「高校の中退・転校・転入学を迷っている」「高卒認定試験について知りたい」「引きこもり状態の子にどう接したらいいかわからない」など、親子の不安や悩みに寄り添い一緒に考えていきます。

寄付金の使い方、感想

 「天国からの寄付ぎふと」より頂いた尊いご寄付は子どもたちが利用するタブレット端末の一部として大切に使わせて頂きます。

 子どもたちは学校に行けない状況の中でも学びたいと思う気持ちが強く、私たちは学びを提供し続けなければなりません。この度のコロナ禍により、一時休所としておりましたが、今後、また同じようなことが起こらないとも限りません。その際は、今回購入を予定しているタブレット端末を貸し出し、オンラインによる授業を予定いたしております。

 この度、このような形で尊いご寄付を受けたことに大変ありがたく思っております。私たちのような市民活動を行っている団体のほとんどが潤沢な活動費があるわけではなく、寄付金によって多くの活動が支えられています。「天国からの寄付ぎふと」のような素晴らしい取り組みの寄付先に私どもの団体を選んでいただいたこと、大変光栄に思うとともに、これからも子どもたちに寄り添っていく活動を真摯に続けていきたいと思います。

問い合わせ先

NPO法人こうちサポートネットウィン

高知市桟橋通3丁目26-29

対象年齢:全ての子ども・大人/定員:クラスなし・定員なし/子どもの数:登録約20名

http://study.free-win.jp/

天国からの「寄付ぎふと」とは

(ファンドレイジングプロジェクト 浦井)

 2009年2月、NPO高知市民会議において活動資金確保が大きな課題となりました。当時の事務局長が、「カタログギフト」が送られてきたのを機に、故人の人となりや遺族の意志を記憶に刻むような「新しいお返しのかたち」を提案できないか?と思ったことで、お香典返しにあてる予算を社会に生かす仕組みを考えようと提案しプロジェクトチームが発足しました。その後、「お香典を社会に生かす仕組み」を構築し2011年6月に寺村葬儀社との協働で「天国からの寄付ぎふと」が誕生しました。

寄付先団体選定委員会

 市民の社会貢献意識の向上や寄付文化の増進を図ることを目的として、寄付先団体の公正な選定を行うために寄付先団体選定委員会を設置し、毎年、6団体選定しています。

①わかりやすさ

誰が見てもわかりやすい活動をしている団体

②資金の必要性

収入の大半を行政の資金が占めるのではなく運営に資金が必要な団体

③次世代につなげる活動

亡くなられた方から次世代に託すイメージ

④社会のニーズにマッチ

社会のニーズにマッチした活動をしている

⑤身近に感じてもらえる

地元を応援するイメージをもってもらう

を選定基準としています。

9年間の実績

 「寄付ぎふと」に賛同、共感していただいたご遺族は、2011年8月~2019年12月迄で32件、寄付総額が約150万円もありました。寄付先団体を指名されることもありますが、それぞれの団体へ平等に寄付される方が多いです。

課題とこれから

 寄付先団体やNPOの知名度と寺村葬儀社でしか取り扱ってないため、「寄付ぎふと」がまだまだ世間に浸透していないことです。

 また、ファンドレイジングの大切なことは、分かりやすさ・透明性・情報発信です。今後も共感(響歓(きょうかん))してくれる人を増やし「寄付ぎふと」を広めていきたいと思います。

「天国からの寄付ぎふと」問い合わせ先

高知市市民活動サポートセンター 電話:088-820-1540

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