えぬぴぃOh!vol.83(2023年春号)_web版

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県民と広げる食支援の輪 こうち食支援ネットの取り組み

 近年、メディアなどでひとり親や生活困窮者の問題が取り上げられる機会が増え、こども食堂や食品の寄付など食支援についての話題も増加、定着しつつあると思います。今回は、県内の中間的な食支援活動を行うNPO法人こうち食支援ネットを取材しました。

集める

 こうち食支援ネットでは、主に「集める・つなぐ・活用する」の3つの活動があります。まず、集める活動については、食品を企業や個人に寄付してもらうフードバンク、コンビニエンスストアや公共施設に箱を設置し、そこを訪れる人に家庭で余った食品を入れてもらうフードドライブがあります。フードドライブに関しては収集ボックスが県内のいろいろな場所に設置されているため、一般の方も食支援に参加しやすいと思います。寄付できる食品とできない食品があるので、気になる方はこうち食支援ネットのホームページ(※画像)を覗いてみてください。

つなぐ

 先述したように、こうち食支援ネットは支援にかかわる双方の中間的支援を行っています。その活動では寄付や協力をしてくれる団体や企業を増やすこと、行政や社会福祉協議会と連携することが必要になります。そのためにスタッフ自らが県内各地に出向くこともあるそうです。また、支援する側とされる側の意見交換の場として、10月2日には交流イベントが行われました。そこでは「集めた食品がどう活用されているのか見えづらい」などそれぞれの立場での悩みや様々な意見が飛び交いたくさんの課題が見つかったため、「今後もこのような意見交換の場を設けてさらなる支援の充実を目指したい」と折田晃一理事長が仰っていました。

2022年10月2日に開かれた交流イベントの様子。

活用する

 こうち食支援ネットの主な活動は、県内で支援を行っているこども食堂などの団体に集めた食材を仕分けて分配する中間的支援です。食品のやりとりをする団体には無料で「フードサポートメンバー」に登録してもらい、月に1回食品のお渡し日などを、こうち食支援ネットの公式LINEでお知らせし、一時保管庫に物資を受け取りに来てもらいます。原則個人への支援はしておらず、集めた食品を登録団体に渡すことでその団体の食支援活動をサポートするという、支援をする側と支援を受ける側の中間的な役割を担っています。現在は45団体がフードサポートメンバーに登録しており、その数は今も増加しているそうです。

一時保管庫
集まった食品の保管とお渡しはここで行なっている。

課題の解決に向けて

 イベントなどで出た課題については、フードサポートメンバーやボランティアスタッフを交えて定期的に話し合いが行われています。折田理事長は、「みんなで知恵を出しあい、ゆくゆくはまとまった形で話し合った内容の発信ができれば」と仰っていました。内容としては「生鮮食品など期限が短いものの取り扱いについて」「築いてきたネットワークの力で解決できること」など、自分たちの中間的支援という立場でできることについて話し合われているようです。

高知で食支援の輪を広げるために

 「食」は、生きていくために必要不可欠なものです。その「食」に関して最近は食品ロスの問題が取り上げられる一方、コロナ禍や物価高騰で食に困る人が増えていることも問題になっています。折田理事長は、そんな相反する課題がある現状を多くの人が知り、「県民に、生きるための食支援にもっと関わってほしい」そうです。

フードドライブの収集ボックス。この筒状の入れ物に、持参した食品を入れます。
フードドライブについて説明しているボード。
事務局にて、集まった食品を種類別に仕分けている様子。

 こうち食支援ネットでは、特徴的な活動として地域のスーパーマーケットが寄付した食品をその地域の社会福祉協議会などがその地域で支援を必要とする方にお渡しする「地域完結型」の支援、定期的に食材の無料配布を行う「フードパントリー」なども行っています。こうち食支援ネットのホームページやインスタグラムでは、活動の紹介や寄付の報告などがアップされているので興味を持った方は、外出先でフードドライブの収集ボックスを見つけたら寄付してみるなどたくさんのご協力をお願いします。私も、食支援ボランティアに積極的に参加したりフードロス対策として買ったものはおいしく食べきったりと、小さなことから行動していきたいです。

(德弘)

問い合わせ先

NPO法人こうち食支援ネット
高知県高知市本町4-1-32 こうち勤労センター5F
TEL:088-824-3583
※支援の仕方など、詳しくはホームページをご覧ください。
https://kfsn.roufuku.com

子どもがありのままでいられる心の居場所をめざして チャイルドラインこうち設立10周年プラス2年

 毎日のように報道されるいじめや児童虐待、日本は子どもにとって生きやすい国でしょうか?
 2022年6月の国会で「子ども基本法」と「子ども家庭庁設置法」が成立し、2023年4月に「子ども家庭庁」が発足することになりました。同庁では子どもの居場所作りや子どもの性的被害、事故の防止も管轄しています。困難を抱える子どもや家庭の支援にあたる部門もあり、子どもや子どものいる家庭が抱える様々な課題に対応し支援することが役割となっています。
 チャイルドラインは1970年代のヨーロッパで始まり、日本では1998年に東京都世田谷区で初めて開設されました。今では、子どもが心を開いて話を聞いてもらえる場所として、現在全国68カ所で開設されています。
 2010年5月に発足したチャイルドラインこうちは、コロナ禍で繰延になっていた設立10周年記念講演会&パネルディスカッションを、会員ら32名の参加を得て2022年11月5日(土)サウスブリーズホテルで開催しました。

発足からの物語

 まず、本淨謹士ほんじょうきんじ代表理事から、コロナ禍で順延になっていた設立記念講演会が10周年プラス2年を迎え開始できたことへの感謝と、組織設立に関わられた矢野川禎子ていこ前理事と長年代表理事を勤められた関田浩美前代表理事が昨年相次いで亡くなられたことへの哀悼が述べられました。
 続いて、コロナ禍を経て3年ぶりに開催した電話の受け手ボランティア養成講座に多くの参加があったこと、よさこいライオンズクラブや高知ライオンズクラブほか多くの方々から寄附をいただいた報告があり、これを受け、更に活発な活動を続けていきたいと決意が述べられました。
 そして、基調講演への期待とパネルディスカッションでコロナ禍の子どもの状況を共有しつつ自分たちからの発信を行いたいと意見表明がなされました。

 続いて「チャイルドラインこうちの歩み(10年プラス2年)」では、組織立ち上げに携われたチャイルドラインこうちの半田雅典まさのり事務局長から、高知での設立のきっかけから自身の現在までの関わりが紹介され、引き続いて高知新聞記事などを使って、子どもの心に寄り添い歩んだチャイルドラインこうちの10年の取組が平山幸恵ゆきえ理事から報告されました。
 その後、組織設立に関わった1期生のお二人から、子どもたちの心に寄り添うことで得られた喜びや活動での思い出が語られました。

第1部【基調講演】~今も昔も変わらず子どもが求めているメッセージとは~

太田久美さん

 NPO法人チャイルドライン支援センターで事務局長や常務・専務理事を経験されてきた、認定NPO法人さいたまチャイルドラインの太田久美ひさみ代表理事から、「太田さんとチャイルドラインこうちの関わり」「NPOとしてのチャイルドラインが目指すべきもの」「チャイルドラインが生まれた背景」「子どもたちがおかれている社会の現状」の話があり、最後に「子どもの話を聞く時のキーポイント」で締められました。
 講演では、チャイルドラインはNPOであり、その使命として「子どもの権利条約の理念に基づき、子どもの『声』を受けとめることで、子どもがありのままで安心できる心の居場所をつくること。そして、受けとめた『声』を社会に発信し、子どもが生きやすい社会をめざすこと」であると語られたことが特に印象的でした。
 また、「そのためには、活動する人々に社会変革性や市民運動性の意識が必要で、単なるサービスの提供ではなく、社会をより良くしていこうという意識や市民の当事者性を発揮させようという意識を持って取り組んでもらいたい。共通の目的のために集まった人たちが、その目的を達成するために活動し、なおかつ広めていくことが重要だ」と説かれました。
 そして、「チャイルドラインにできることは、限られた出会いを通して、子どものSOSを受け止め、子どもの気持ちを聴くこと。違う価値観を提示しながら、子ども自身が本来持っている生きる力が湧き出すよう自己決定するためにサポートすることを繰り返すしかない。その姿勢を貫いて欲しい」と熱く語られました。

第2部【パネルディスカッション】~家庭、地域、社会の中で育まれる子どもの姿~

 基調講演の後、講師の太田さんに本淨代表理事と呉静恵くれ ちょんへ副代表理事が加わりパネルディスカッションが開催されました。参加者の中には、医療や教育等の専門家の方もおり、これらの方々の意見も聞きながら進められました。

パネルディスカッションの様子

 パネラーからは、「コロナ禍の中で、子どもは生きづらい社会環境に置かれている」「障害も含め多様性を認めることがお互いの尊敬につながる」「自分の命は自身で守る教育も必要だし、子どもたちが安心・安全でいられる社会になるよう、全ての人が生きている価値があるという価値観を変えることが大人の責任」等の意見が出されました。
 パネルディスカッションは、最後に「ネガティブなことでも、子どもたちがありのままに発信でき、それを受け入れられることが、トラウマやストレスがあっても『あなたはあなた』と受け入れられたと安心感が生まれ、それが自己肯定感につながる。チャイルドラインは、子どもだけでなく関わる大人も日々学ばせてもらえる。手を取り合ってやり続けることが大きな力になる」と締めくくられました。

 チャイルドラインは、18歳までの子どもなら誰でもかけられる専用電話。毎日16時から21時まで開設しています。活動に興味のある方は参加してみませんか。

(森岡)

チャイルドラインこうち 事務局
TEL:090-2788-9977(受付9:00~17:00)
E-mail:childline-kochi@sea.plala.or.jp

住みよい柳野を守り、そして創り続ける 明るい柳野を創る会

 仁淀川を横目に国道194号から国道439号に車を走らせると、いの町の西端にある深い山々に囲まれた集落にたどり着く。人口およそ160人のこの小さな集落で、住民が主体となり地域活性化に取り組んでいる「明るい柳野を創る会」にお話をお伺いしました。

地域に対する想いから

 『柳野をさびれた地域にしたくなかった』、そう語る会長の筒井正臣さん。1996年2月に発足した「明るい柳野を創る会」は、地区の住民全員を会員としてスタートした。過疎化・高齢化が徐々に進行していくなかで、農業の将来、地域でのつながりや老後への不安など地区が抱える課題が明らかになっていた折、集落の活性化のために住民が立ち上がりました。

元気を支える

 活動の拠点は、地区の入口にある施設「ふれあいの里 柳野」。地域の人が集まって交流できる場として、そのほとんどを地元の人たちで造り上げました。ここでは地元の新鮮な野菜などの農産物が手に入り、テラスで軽食を楽しむことができます。運営の中心はもっぱら女性メンバー。女性が活躍する組織は活気で溢れています。地元の人が集まってお茶を飲んだり、買い物をしたり。『ここがあるからみんなと会える、ほっとする』、地域の元気を支える場所になっています。

映画「竜とそばかすの姫」のモデルとなった食堂

みんなとカタチに

 施設を核に、そば打ちやこんにゃく作りの体験プログラム、観光協会や地元企業などと連携した地区の自然や暮らしを楽しむイベントの開催など地域に人を呼び込む取組みを進めています。こうした取組みを継続・発展すべく、2014年からは集落活動センター「柳野」として活動することに。メンバーみんなでアイデアを出し合って活動を一歩一歩進めています。ときには意見が分かれて大変なことも。『いちいち腹をたててもいかんしね』と話す前会長の筒井艶子さん。穏やかな笑顔に長年活動してきた団体のしなやかさを見た気がしました。

活動の拠点「ふれあいの里 柳野」

バトンを渡す

 「若い人たちにバトンを渡していきたい」、これはメンバー共通の願い。そのため、国の農村RMO(※)交付金事業を導入して農産物の加工所を整備し、2023年3月から自主運営しています。ヒット商品を開発して収益が安定してあがるようになれば団体の活動に若い人たちを招き入れることができます。もともと柳野の人たちはオープン、そうなれば集落の未来も拓けてきます。明るい柳野を創る会では、その目標に向かって今日もメンバーの挑戦が続きます。

集会所の一部を食品加工所に整備
この日のお当番

※農村RMO:中山間地域において、農地の保全と農業を核に住民、法人、自治会などが一体となって地域コミュニティの維持に取り組む組織

(永野)

問い合わせ先

明るい柳野を創る会【ふれあいの里 柳野】
吾川郡いの町小川柳野2482
TEL:088-868-2148
https://yanagino.studio.site

サポートセンターの「寄付をまなぶ」イベント 寄付の教室in高知

 2022年11月22日、23日に、高知市市民活動サポートセンター事業として、二日間にわたり、認定NPO法人日本ファンドレイジング協会のプログラム、「寄付の教室」を開催しました。

「寄付の教室」について

 「寄付の教室」とは、日本ファンドレイジング協会が、小学校高学年から中学生、高校生をメインに「寄付」と「NPO」についてワークを通して理解するための教材として開発したプログラムです。

開催までの経緯

 数年前から高知県内ではファンドレイザー(非営利組織における資金調達の専門家)が集まり定期的な勉強会、交流会を開催していました。そんな中、2022年の春、「寄付の教室」の開催についてNPO高知市民会議のファンドレイザーから提案があり、その後、日本ファンドレイジング協会と一緒に開催に向けて検討を始めました。
 今回は、できるだけ多くの方に「寄付の教室」を体験してもらうため、中学生、高校生をメインにした回と、県民に知ってもらうため幅広い年代の方が参加できる回、合計三回に分けて開催しました。

参加者の声

  • 寄付の仕組みがあって社会が成り立っていることを知ることができた。(中学生)
  • 自分の少しの行動で救える事があることが分かりました。(高校生)
  • 寄付について考える機会を増やそうと思いました。身近にあるNPOの寄付に繋がる商品を探してみたいと思います。(高校生)
  • NPOや寄付について少し興味を持てたので、生徒たちも、そうした事へのアンテナが張られたのではないでしょうか。(教員)
  • NPO活動を具体的に知ることができて、とても身近に感じました。人の助けになるために行動できる人になりたいと思いました。(教員)
  • 寄付の文字にこれから目が行くようになると思います。「寄付の教室」、高知バージョンがあると良い。(NPO職員)

今後の活動について

 最終的に二日間で60名以上の方に「寄付の教室」を体験していただくことができました。
 これからも定期的に「寄付の教室」を開催して、県民に寄付について伝える機会を設けたいと考えております。ご興味のある方は、ぜひご連絡ください。

(北川)

土佐塾中学校で開催した第一回
県内高校生、中学生、学校の先生を集めた第二回
10歳から70歳まで幅広い参加者を集めた第三回

問い合わせ先

高知市市民活動サポートセンター
電 話 088-820-1540
メール info@shiminkaigi.org

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