アンデスの風 プロジェクト ~日本とアンデスの架け橋~
2023年11月にアンデス民族音楽を聴きに行った会場で、「アンデスの風プロジェクト」の活動写真が展示されていました。どのような活動をされているのか Wayra Japan高知マネージャーの恒石万由美さんに詳細を伺いました。
恒石さんとアンデス音楽との出合い
2017年3月高知市内の量販店から外に出たとき、どこからか笛の音が聞こえてきた。その音色に引かれるように歩き出し、着いた先が帯屋町パラソーレの下だった。そこには、ペルーの民族衣装を着た男性ふたりが、ケーナ、サンポーニャという笛を吹いて演奏していた。その音色と楽曲に癒やされ、その場でCDを2枚購入し帰宅してからも赤いマントがフラッシュバックするぐらい衝撃を受けた。他のCDも欲しくなり連絡先に電話をかけると、すでに高知を離れていて、次は岡山で演奏会があると聞き初めて特急列車に乗って一人旅したのが始まり。
高知へ呼びたい
また高知で演奏を聞きたい、多くの人に知ってもらいたい。彼らを呼ぶには交通費やギャラも発生する。資金集めから企画まで、そう簡単にはいかなかった。
昔からの知人である「装堂礼法きもの学院高知連盟」の先生に話をして賛同を得ることができたので子供を支援するイベントを企画した。
アンデスの風プロジェクト始動
2017年11月12日大川上美良布神社にて「第1回鎮守の森の七・五・三フェスタ」を開催。アンデス民族音楽の演奏と日本の伝統文化である着物の着付け、帯結び、おじぎの作法など、七五三まいりのお子さんとお母さんを対象に無料で行うことで集客を図った。他にもアンデスの山奥に住んでいる子供達のため、不要になった子供服や文房具、おもちゃなど寄付していただいたり、チャリティ募金で資金も集めることができた。やるからには3年続けようと決めていたので、達成できたときは嬉しかった。
Wayra Japan
グループ名のWayraとは、インカ帝国時代の言葉で「風」という意味。ペルー共和国出身のグッドベン・ゴンサさんが中心となり演奏活動を日本各地で行っている。
1年に1回ペルーの首都リマから5時間車を走らせ、アンデスの山奥に住む子供達に、日本からの支援物資と温かい献金で購入したココア、お菓子、おもちゃなどを約300人の子供達にプレゼントしている。
聴く人の心を穏やかに
竹で作られたサンポーニャは初めて見る形をした楽器でしたが、演奏を聴いていると懐かしい気持ちになり私の心を癒やしてくれました。
恒石さんに今後の活動について尋ねると、体力の続く限り支援したいとおっしゃっていたのがとても印象に残りました。
(うらい)
問い合わせ先
Wayra Japan
TEL:090-4974-3444 (高知マネージャー 恒石)
http://www.wayra.jp/ (Wayra Japan Official Site)
作って学び、遊んで広める ~土佐竹とんぼの会~
子供時代を振り返ると、何をして遊ぶ自分が思い浮かぶでしょうか。また、昔あそびという言葉からどんなものをイメージするでしょうか。子供の頃大人と一緒におもちゃを手作りした方も少なくないと思います。今回は、竹とんぼの作り方、遊び方を伝承する「土佐竹とんぼの会」の事務局長、根木勢介さんに香美市の「情報交流館」でお話を聞きました。
かんたんで学べる竹とんぼ
土佐竹とんぼの会は、竹とんぼ作りを通して、子供たちに刃物の使い方や自分で作って遊ぶ楽しさを伝え、竹を身近に感じてほしい、という想いで発足しました。現在の主なメンバーは情報交流館などで活動をしている方たちで、根木さんもその一人です。竹とんぼは保育園の年中くらいから作れて、さらに刃物を使って竹を羽の形にカットするのは小学4年生くらいからできるそうです。また、羽の中心に熱を加えて柔らかくし、ねじるように15度ほど曲げるとよく飛ぶ竹とんぼになるようです。実際にその工程を体験すると、硬い竹が想像以上に柔らかくなっていて驚きました。竹とんぼの見た目は一通りではなく、形や重さにも工夫があるということも学びました
各地に広がる竹とんぼ教室
土佐竹とんぼの会は、依頼を受けて活動しています。最近は小学校の児童クラブからの依頼が多く、高知市内はもちろん、室戸市や梼原町など県内各地で竹とんぼ作りを広めています。
教室では竹とんぼの羽と軸、立てて飾る台木の3つをセットにして子供たちに渡し、一緒に竹とんぼを作ります。20分あれば簡単に作って遊べるのも竹とんぼのいい所だと言われていました。また、根木さんは、教室に参加した子供たちにはスマートフォンやゲームがある時代でも自分で竹とんぼを作り遊んだ経験を通して、竹自体を身近に感じてほしいと語っていました。目の前で竹とんぼが出来上がるのを見て小さい頃に竹や木で作ったおもちゃを思い出し、温かい気持ちになりました。
竹とんぼを未来に残すために
土佐竹とんぼの会の今後の課題は、後継者の養成だそうです。子供とイベントに参加して竹とんぼに興味を持った親御さんに声をかけることもあるそうです。しかし働き盛りで忙しいことと、ただ竹とんぼを作れるだけでは上手に子供たちに教えられないということもあり、なかなか会員が増えないそうです。
取材を終えて
取材が終わると、さっそく根木さんに竹とんぼの飛ばし方を教えていただきました。片方の手は動かさずに飛ばすなどポイントがあり、うまく飛ばせませんでしたが夢中になりました。竹とんぼは昔からありますが、遊んだことのない私には新しいもののように感じられました。取材のあと山をゆっくり下っているとあちこちに竹が生えていることに気が付いて、わくわくした気持ちで帰りました。
今回根木さんのお話を聞いて、自分の知らなかった竹の魅力に気付くことができ、竹とんぼも自然も未来に長く続いてほしいと感じました。
(德弘)
問い合わせ先
土佐竹とんぼの会
TEL:090-2825-2069
FAX:088-880-0764
※情報交流館ネットワークの構成団体
https://www.k-kouryu.net/about_us/index.html
子どもの命と心を守りたい ~子どもシェルター「おるき」開設シンポジウム~
日本には、貧困や虐待などにより自らの権利を脅かされながら、危険な環境で生活を強いられている子どもたちがいる。高知県内にも、親から虐待を受け続けてきた子どもや家にいられなくなって外で危険な大人とつながり、危険な目に遭っている子どもたちがいる。
こうした居場所を失った子どもたちを一時的に避難させ、受け入れる児童福祉施設「子どもシェルターおるき」が、3月に四国で初めて高知県内に開所されるにあたり、2023年12月16日(土)に高知県立ふくし交流プラザで開設記念シンポジウム(第1部:講演・第2部:パネルディスカッション)が行われ、136名が集まった。
子どもシェルターの現場から ~困難を抱える子どもに寄り添う~
第1部は、国内初の子どもシェルター「カリヨン子どもの家」(東京都)の創設に携わった弁護士で、社会福祉法人「カリヨン子どもセンター」理事の坪井節子さんの講演。子どもの居場所に関わるきっかけになった、覚せい剤取締法違反で検挙されて、少年鑑別所に収容された16歳の非行少女と接見した30年前の話から始まった。
家庭内暴力に耐えきれず出ていく母親。親以外の他人を頼って生きていくという概念がない年齢で、ビール瓶を振り上げる父親から妹たちを守るため虐待に耐える生活。そして、多くの見たくないことから逃れ、誰でもいいから傍にいてほしいという気持ちで10歳で家出をした少女が、非行少年の仲間に入り、何もかも忘れられるシンナーに手を染めた。補導の後、「あんたなんか生まれてこなければよかった。あんたなんか死んじまいな」という母親の言葉に、生まれてきたことを後悔。
中学時代は学校での授業妨害や自傷行為。誰も助けてくれない生活から、生きていくために何度も家出を繰り返し、暴走族に入り、リンチを繰り返し、やくざに拾われて覚せい剤を打たれボロボロになった16歳の少女。
そんな少女を誰が責められるのか。そして自分が何ができるのか?坪井さんは自問自答し、そして聴衆に問いかける。会場内からは鼻をすする音が聞こえた。
法律で禁じられていることを理解する子どもは非行に走らない。少年法を厳罰化すれば非行が無くなると考える大人たちは、どうして子どもたちが非行に走るのか知らなさすぎると思う。坪井さんの強い言葉は続く。
「自分を大切に」と言っても「あんたに関係ない」と言われる。どうすればよいかわからない。そこで坪井さんは、「私は、生まれてきたあなたに生きてほしい」と語りかけた。そこから、少しだけ気持ちがつながり「親を探してほしい」という前向きな言葉が出てきたが、最終的に親は一度も面会に来ず、少年院送致が決定した。
その後の接見で「もういい。帰れ!極道になってやる」と自暴自棄な言葉を浴びせられた坪井さん。「裁判所は処罰しようとしているのではない」と言っても、助けてもらえないと分かり、口も聞いてもらえない。坪井さんは、弁護士としての無力さを感じたという。
「更生して帰ってきて」と言っても、虐待を受け育ってきた子どもは大人を信じられない。助けてくれる人がいないと、幾重にも心の扉を閉じている。しかし、坪井さんはその後も何度も接見に通う中で、少なくとも逃げない人と認識してくれたのではないかと思ったそうだ。
17歳で更生し戻ってきた彼女だが、中卒で住む場所や働くところがない。やっと見つけた住み込みも、周りの大人は冷たく三か月間いじめ抜かれて解雇され、やがて風俗へ。妊娠して子どもを置いてキャバレーで働く、そんな傷つきながら生きていく人生でも彼女は困難を乗り越えていった。
坪井さんは、「ずっとそばにいられないが、彼女は本当にだめなときにSOSの電話をくれる。何もできないが信じてくれ、寄り添うことだけはできた」としみじみ語る。
その少女は、現在結婚して子育て中で、往年の自分と同じように公園でシンナーを吸っている子どもを見つけると「シンナー吸ってる子どもの気持ちは、吸ったことがある自分にしかわからない」と家に連れ帰り、ご飯を食べさせているという。「人間がどんなものか、坪井先生や少年院の先生方に出会って教えられた。だから今自分にできることはしてあげたい」と言う彼女を坪井さんは希望の星だと紹介してくれた。
坪井さんは「大人は無力。目の前の子どもに、『生きていてほしい』と祈ることしかできないけれど、たった一人でもそう願う人がいることで、子どもたちは生きていける。子どもは本当にすごい」と言う。
「おるき」への期待
第2部のパネルディスカッションでは、弁護士でNPO法人子どもシェルターおるき(以下「おるき」)理事の中島香織さんがコーディネーターを務め、高知県警中村署少年育成指導官の佐々木美紀さんと、「おるき」副理事長を務める児童家庭支援センター「高知ふれんど」センター長の谷本恭子さん、同副理事長でJA高知病院小児科医の本淨謹士さんがパネラーとして登壇した。
パネラーからは、日ごろの子どもたちへの支援内容や高知の子どもの実情が、それぞれの立場で語られた。
佐々木さんからは、子どもの問題だけでなく養育限界の保護者の事例が紹介され、子どもシェルターで環境をかえることで、親子関係をやり直すための場所になり得ること、社会へ出ていくために大人社会への信頼感を得られる止まり木のような場所が必要であり、「おるき」がそういう役割も持つことへの期待感が語られた。
谷本さんからは、子どもに虐待を加える親自身が、子どもだった頃に虐待経験があること。問題意識を持ちながらも変われない自分に苛立ち、虐待の再現が起こっていることなどが紹介され、「おるき」が、子どもたちからのSOSを受け入れる場、大人を信じられない子どもの自立の道を開く場、心が癒されて次のステップにつながり、安心してリトライできる場になってもらいたい。そのためにも様々なネットワークが必要であると語られた。
本淨さんからは、小児科を訪れる生き難さを抱えた子どもたちの話を聞くことに徹していること。子どもたちが学校や社会、家庭環境のストレスで頭痛や下痢などの症状でつらい思いをしていても、病院でも対応できないことがあり、「おるき」が選択肢の拡大につながることを期待しているとの話があった。
子どもの頃に体験した逆境体験は、子どものトラウマになる。これは、家庭の機能不全だけでなく、世界的には紛争や戦争、災害でも起こり、成人の60%以上が一つ以上経験している。これが累積すると健康被害が高まり、ひいては社会損失にもつながる。子ども時代をいかに充実して生きるかが重要で、たとえ傷ついても子どもシェルターで受け入れられ、適切なケアが受けられる経験が自己肯定感や自己有用感につながるとのことであった。
最後に、登壇者全員から、「おるき」の活躍を期待する応援メッセージで締めくくられた。
(森岡)
問い合わせ先
NPO法人子どもシェルターおるき
電話:080-6233-7974
https://kochikodomo0603.com/
NPO最強決定選 ~畑も違えば規模も違う。あるのは情熱!!!果たして何が最強か!?~
2023年12月9日、こうちNPOフォーラムが開催されました。今回のテーマは〝最強決定選〟。最も共感した団体や応援したい団体へ、参加者が一票を投じ〝最強〟を決めるというものでした。
実行委員会
フォーラムの実行委員は、NPO関係者、企業、学校関係者、行政、大学生も参加しています。
今年の実行委員長は、NPO高知市民会議の田中伊緒さん。テーマの〝最強決定選〟を提案した高知工科大学システム工学群3年生の高橋幸暉さんが副実行委員長を務められました。
テーマ〝最強決定選〟
発表の9団体から〝最強〟をどう決めるか、〝戦〟ではなく〝選〟に。1位~3位までを〝最強賞〟〝情熱賞〟〝実行委員長賞〟とし、「投票の方法はシールを貼る」「試合っぽくレフリーが居たり、実況中継があると良い」などのアイディアが出ました。
当日は、10~70歳代の93人が「テーマ」や「NPOの活動に関心がある」など様々な動機で参加されていました。各団体の発表の後、ポスターセッションで発表団体と自由に話し、恒例の〝おやつ村〟のおやつを食べながら、各グループで発表団体の強みや共感できる点の意見交換を行い、最後に投票。最も多く投票された、地域サロン・子ども食堂「ほっと笑(しょう)」が〝最強〟となりました。参加者からは、「知らなかった活動の話しが聞けた」「交流ができた」などの感想が寄せられました。
今回、副実行委員長を務めた高橋さんは、前年度実行委員だった所属サークル(3大学合同地域活性化団体Sun-fes)の先輩からの紹介で、自分の成長になると思い、参加を決めたとのことです。実行委員会では最初分からないことが多かったようですが、回を重ねるごとに発言が多くなりました。発表団体が強みを強調できることを考えインパクトのあるテーマをと、スマホの野球ゲームから〝最強決定選(戦)〟を提案したそうです。
フォーラム当日は、自分が提案したことが形になり終始笑顔の高橋さんでした。
大学でのサークル活動はこれまでコロナ禍で人が集まらず思うようにできないことがあったそうです。フォーラムで活動を続けてきた団体の発表を聞いたり、話したりすることで励みになり、改めて人との関わりの大切さを感じたとのことでした。
(松谷)
【最強賞】
地域サロン・子ども食堂「ほっと笑」
https://kochi-saposen.net/events/085902
【情熱賞】
NPO法人福祉住環境ネットワーク高知
https://fukuneko-k.com/
【実行委員長賞】
集落活動センター「仁ノ万葉の里」
https://www.instagram.com/cafe.ni_no_kochi/
問い合わせ先
こうちNPOフォーラム実行委員会
事務局 高知市市民活動サポートセンター
電 話 088-820-1540
メール info@shiminkaigi.org
寄付の教室&カードゲーム「from Me」 ~ゲームを通した社会貢献活動体験会について~
2022年から高知市市民活動サポートセンターでは、市民の社会貢献活動を後押しする目的で、寄付とボランティアを通した活動を知るワークショップを開催しています。
使用する体験プログラムは、認定NPO法人日本ファンドレイジング協会が、社会貢献活動について知るために開発した「寄付の教室」とカードゲーム「from Me(フロム・ミー)」です。
2023年度は11月23日に体験しました。
体験①「寄付の教室」
まずは、昨年も高知で開催したワークショップ「寄付の教室」。これは社会貢献活動(寄付とボランティア)について、その意味と効果を、実際に存在する団体へ疑似的に寄付をするというワークを通して、自分ができる社会貢献を知る体験学習プログラムになっています。
体験②カードゲーム「from Me(フロム・ミー)」
もうひとつは、日本ファンドレイジング協会が開発した、寄付版SDGsカードゲーム「from Me(フロム・ミー)」。このゲームは四国初開催ということもあり、香川、徳島、愛媛、岡山など県外からも参加がありました。内容は、参加者それぞれが人生の価値観に従って社会活動を行いながら、それぞれの『ウェルビーイング(人生の幸福)』を目指すといったものです。ゲームの面白いところは、参加者それぞれのアクション(社会活動)が、お互いの人生に影響を与えながら、自分たちを取り巻く社会そのものが変化していくという実際の世界と同じようなことがおこるところです。
今後の活動について
ぜひ皆さんも一緒に体験プログラムを通して、社会を良くする方法を学んでみませんか。また、今回実施したプログラムの他に、「社会に貢献するワークショップ」もあります。皆さんの地域、職場、学校で、これらのプログラムを実施するお手伝いをしていますので、お問い合わせください。
(北川)
問い合わせ先
高知市市民活動サポートセンター
(NPO高知市民会議 社会貢献教育プロジェクト)
電 話 088-820-1540
メール info@shiminkaigi.org