えぬぴぃOh!vol.81(2022年夏号)_web版

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こどもと本を結ぶ活動 ~こども読書ボランティアの会・豆の木~

 インターネット上では膨大な量の情報が飛び交い、誰でも気軽に情報のやり取りができるが、信じられるものや疑わしいもの玉石混交ぎょくせきこんこうの情報から信頼性の高い情報を取り出し活用する情報リテラシーが重要視されている。

 様々なメディアの中でも本という媒体は、出版社が事業として刊行する過程で、編集者、校閲者など多くの専門家の手を介して、その責任のもとに制作されるため、情報源として信頼性は高いといわれる。

一方、文化庁が毎年実施している「国語に関する世論調査」の平成30年度の調査結果で、「読書量は、以前に比べて減っているか、それとも、増えているか」という質問で、「読書量は減っている」が 67.3%、「読書量はそれほど変わっていない」が24.3%、「読書量は増えている」が7.1%となっている。過去の調査結果(平成20、25年度)と比較すると、「読書量は減っている」は増加傾向にある。

 そんな現状の中、信頼性の高い「本」を読む習慣をこどもの頃から身に着けることは重要だ。子どもの読書に関するボランティアを支援することを目的として、こども読書ボランティアの会・豆の木(以下「豆の木」)は活動している。

はじまり

 豆の木は、平成22年に旧高知県立図書館が主催したストーリーテリング勉強会の出会いから、旧高知市民図書館を拠点にこどもたちに本とお話を届ける「楽しくて、ちょっぴりスパイスの効いた研修会」として始まった。

 現在では、コロナ禍のため出来ていない事業もあるが、会員17名で、毎月、高知市内の図書館、図書室等で定期的に読み聞かせ・手遊び・パネルシアター等によるおはなし会を開催し、会報「豆の木・だより」を発行している。

 また、オーテピア高知図書館で自主研修として定期的な勉強会を実施し、研鑽を積んでいる。

実践活動

①絵本研修会(毎月の第3水曜日)・プログラムの実演や絵本の勉強会
②実技研修会(偶数月第2水曜日)・読み聞かせ、手遊び、ストーリーテリングの実演研修
③おはなし会・家庭文庫、児童福祉施設、図書館、小学校等でのおはなし会
④楽しみながら学ぶおはなしの連続講座・会員に加えボランティア等が絵本やストーリーテリングについて共に学ぶ講座
⑤研修会講師・ファミリーサポートセンター、土佐町等での研修会講師
⑥会報発行・毎月1回発行
▲実践活動一覧

 今回の起稿にあたり、オーテピアで開催された豆の木の総会や研修会、高知県立交通安全こどもセンター[通称 交通公園]で開催されたおはなし会を取材した。

 4月20日(水)の総会では、コロナ禍での活動制限の厳しさが報告されたが、コロナ禍を乗り越える運営に向けて熱心な意見交換がなされていた。

 6月8日(水)に開催された実技研修会では、会員相互に実演の批評をしあい、全体構成や時間、本の見せ方、声の出し方や読むスピード、演者の服装や視線、立ち位置、さらには演じていない人の立ち位置まで、話を聞くこどもの側に意識した細かい配慮や技術向上のためのアドバイスが出され、ボランティアでありながらもプロ意識を持ち責任感のある活動がなされていると感じられた。

 4日後の6月12日(日)に交通公園で開催されたおはなし会では、会員の信清のぶきよさんと竹島さんが担当したが、実技研修のアドバイスを活かしてレベルアップした手法で行われ、保護者と共に参加していた10名の未就学児は、ぐずることも殆どなく集中してお話を聞いていた。おはなし会を終え、信清さんは、「多くのこどもたちの参加がうれしい」と話してくれた。

▲交通公園でのおはなし会の様子

未来につなぐ

 さらに、豆の木の活動は、こどもたちに向けての活動に留まらない。楽しみながら学ぶおはなしの連続講座では、こどもたちだけでなく、幼稚園・保育園・学校や図書館等様々な場所でこどもたちに読み聞かせを行う人や子育て中の保護者、図書館の児童担当司書の学びにも役立っている。

 会員は、教育関係者や子育てを終えてこどもの読書環境向上に役立ちたいと参加している方が多く、団体としては、会員個々のレベルアップだけでなく、事業継続を考えて世代交代を行っている。

 豆の木の活動は評価されて、平成29年度「子どもの読書活動優秀実践校・図書館・団体(個人)」文部科学大臣表彰を受賞した。今後も彼女たちの活躍に期待したい。

(森岡)

▲会報「豆の木・だより」

【用語の定義】
ストーリーテリング:語り手が物語を覚えて、聞き手に語ること。子どもたちに読書に対する興味を持たせることを目的に、語り手が自分の言葉に直して語る。同じ物語でも語り手によって違った味わいを持たせ、また、聞き手の反応を見ながら語り口を変えていくことが可能。
パネルシアター:パネル布を貼った舞台に絵や文字を貼ったり外したりして展開する表現法。

問い合わせ先

こども読書ボランティアの会・豆の木
(オーテピア高知図書館登録ボランティア団体)
代表 吉永 万喜子 TEL:090-1000-8242

王希奇(ワンシーチー)「一九四六」高知展を開催して

【寄稿】大家賢三たいけ けんぞう(特定非営利活動法人地域文化計画 理事長)

≪一九四六≫、2012~2015年、油彩、画布、300×2000㎝

 2022年2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始したという信じられないニュースが飛び込んできました。テレビ画面では、日に日にエスカレートする軍事侵攻の映像や、周辺国へ避難を開始するウクライナ市民の様子が途切れることなく報道されていました。その難民・避難民は数日のうちに何百万もの数となり、誰もが恐怖と悲しみの表情に歪んでいました。

 この状況は3ヵ月前、まさに私たち実行委員会が開催した展覧会の絵画に描かれていた人々の表情に重なり、テレビ画面を前に言葉を失いました。

「一九四六」に描かれたもの

 その絵画とは、中国魯迅ろじん美術学院教授の王希奇さんが描いた縦3m、横20mの巨大な作品「一九四六」。王さんは中国国内でも著名な歴史画家で、油絵と墨絵を融合させた独特な技法で、1946年に満洲から逃れて葫蘆島ころとう港から日本への引き揚げ船に乗り込もうとする500人余りの日本人の姿を描きました。

王希奇さん

 今「満洲(国)」と言っても若い世代には馴染みのない言葉かもしれません。日本が満洲事変によって中国東北部につくりあげた傀儡かいらい国家で、高知県からも満蒙まんもう開拓団として約1万人が中国へ渡りました。1945年の日本敗戦後、満洲にいた日本人約155万人は、過酷で悲惨極まりない状況におかれていました。翌年5月頃からようやく日本への引き揚げが始まり、葫蘆島港からは約105万人が日本に引き揚げてきました。

 その当時の状況を調べていた王さんは「母親の骨箱を抱えた子供」の姿を引き揚げ写真集の中に見つけ衝撃を受けます。王さんは人種や国の問題ではなく、悲惨な状況に置かれた人々を描かなければと筆を執ります。「戦争に勝者はいない。最後に苦しむのは子供と母親です」と語り、日中関係の悪化の中でも調査を含め5年をかけてこの大作を完成させました。

 母乳を与える母親、負傷者を運ぶ看護師たち、そして絵を描くきっかけとなった骨箱を抱く子供の姿など、延々と続く引き揚げ船に向かう憔悴しきった人々の連なり。王さんは「この絵は今も世界中で起きている戦争で犠牲になっている人にも向けているものです」とも語ってます。

骨箱を抱く子供。王さんは500人一人一人の物語を考えながら描いたと語った。

市民実行委員会の快挙

 この展覧会は、2021年11月28日から12月5日までの一週間、高知市文化プラザかるぽーと7階で開催され、高知展は東京、舞鶴、仙台に続く4カ所目となりました。

 中心となったのは自らも引き揚げ者である91歳の﨑山さきやまひろみさんで、その使命感にも似た強い思いに共感し、教員や元大学教授、文化関係者など20人が2年前に実行委員会を結成しました。委員の中には引き揚げ経験者も多く次の世代に歴史の一ページを伝えたいと心から願っていました。私が所属する「NPO地域文化計画」も、作品の搬入や資料展示で協力させていただきました。

「一九四六」の前に佇む﨑山ひろみさん

 慌ただしく迎えた初日の入場者は400人に迫り、その後、日を追うごとに全国から観覧者がやってきました。

 やはり満洲からの引き揚げ者の方も多く、作品の前を行ったり来たりしながら、絵の中の人々と歩みを合わせ、当時を追体験するかのように鑑賞しているのが印象的でした。

 「どこかに自分が居るのではないか」「この絵の中に父がいる」「母から話を聞いた」と涙を浮かべて見入る多くの人々。会場のソファーに座り、じっと絵を凝視している人。引き揚げを知らない若い世代は絵を観ながら戦争の悲惨さを擬似体験しているようでした。また鑑賞者同志で体験を話すなど、「観る展覧会」は「語り体験する展覧会」でもありました。

 目も眩む一週間が終わると、予想を大きく上回る2782人の入場者を記録しました。この時期コロナ禍も少し収まり、マスコミ取材や新聞への投書、のべ200人を越えるボランティアの協力など多くの皆さんに助けられました。強力なスポンサーもないなかで、覚悟していた経費の自己負担もなく、このような大きな展覧会を「市民のちから」を主体としてやり切ったことは実行委員の誰もが誇りに思いました。

会場風景

平和への思いを引き継ぐ

 今回の展覧会では、高知大学生が学生実行委員会を立ち上げ、自ら学んだ満洲の歴史をSNSで発信、﨑山さんのトークイベントも企画しました。専門学校や中国留学生の総見、家族連れの見学者もあり、若い世代へ少しでも満洲のことが伝えられたと考えます。

 敗戦時の引き揚げ船へ向かう日本人の姿が、現代のウクライナ難民の姿に重なるこの作品は、歴史の一場面を描いてますが、そのテーマは極めて現代的です。あるいは「一九四六」の時代から世界は何も変わっていないのかもしれない、そんな絶望感にも襲われます。

 2021年12月2日の関連企画講演がご本人最後の講演会となった俳優の故・宝田たからだあきらさんは「世界に冠たる日本国憲法9条を守れ!」と力を込めました。宝田さんも引き揚げ者のお一人で、色紙に書かれた言葉は「不戦不争」。最後まで戦争の悲惨を伝え平和を訴え続けました。

宝田明さんの色紙「不戦不争」

 展覧会を通じ多くの人が感じた「二度と戦争をしてはいけない」という思いがいとも簡単に目の前で裏切られ、再び戦争によって世界が対立する状況となったいま、巨大絵画の中に描かれた人々の姿は、私たちに戦争の愚かさ、犠牲となるものの悲しみ、そして戦争を始めた者たちへの怒りを伝えてきます。

 私たちはそのメッセージをしっかり受け止め、正しく歴史を知り自分の目と耳で情報を選び取ることをやめてはいけないと思います。

■今後の「一九四六」展■
【「一九四六」王希奇神戸展】2022年8月31日(水)~9月4日(日)
兵庫県立原田の森ギャラリー本館大展示室

【王希奇「一九四六」展】2023年3月21日(火)~一週間程度 ※予定です
満蒙開拓平和記念館(長野県下伊那郡阿智村) ☎0265-43-5580
https://www.manmoukinenkan.com/

こころを贈る[寄付ぎふと] ~ファンドレイジング・プロジェクトの取り組み(サポセン事業)~

 市民活動団体が活動を継続していくうえで運営資金をいかに確保するかが大きな課題となっています。そこで、新たな資金確保の仕組みとして、3つの「寄付ぎふと」プロジェクトを実施しています。

ファンドレイジングとは

 NPOが活動するためには、事業経費と事務経費、人件費、税金など多額の経費が必要となります。資金源には、会費や寄付金、事業収入、助成金・補助金、民間金融機関からの借り入れなどがあります。

 「ファンドレイジング」とは、全ての財源獲得の総称とも言われていますが、語源としてはFund(資金・基金)とRaising(立ち上げる・調達)という単語を繋げた造語で、直訳すると「基金を立ち上げる」と言う意味です。

 単にお金を集めるということではなく、社会的な課題を人々に知らせ、理解してもらい、その解決への参加者を増やして、社会をよりよくしていくための手段のひとつとされています。

①天国からの寄付ぎふと

 2010年NPO高知市民会議内に、ファンドレイジング・プロジェクトを設置。同プロジェクトでいろいろな検討を重ねる中で、「お香典を社会に生かす仕組み」が提案されました。葬儀社にも参画していただき、2011年9月に「天国からの寄付ぎふと」がスタートしました。

 亡くなられた人の想いや遺された家族の想いに寄り添うことができる新しいお返しのカタチを構築。

 お香典返しの一部を寄付金としてお預かりし、寄付先選定委員会(毎年1月に開催)が分野別に選定したNPOや任意団体(6団体を2年毎に入れ替え)への支援金として活用されています。

②飲みもって食べもって寄付ぎふと

 寄付つきメニューを提供してくださるお店で飲食することで寄付に繋がる取り組みです。

 毎年3月に土佐「おきゃく」とコラボして「飲みもって食べもって寄付ぎふと」拡大版を開催しています。新型コロナウイルス感染症拡大の状況を踏まえ2020年は中止、2021年は規模を縮小しての開催。2022年は3月から7月まで分散型で行われることになりました。NPO高知市民会議では、3年ぶりに5月13日〜22日に参画。5月31日まで延長してくださった店舗を含め18の飲食店で実施いたしました。

 コロナ禍で大きなダメージを受けている飲食店ですが、通年寄付つきメニューを提供してくれているお店が5店舗あります。ぜひ、各店舗(HP参照)にて飲食を行い、NPOや社会貢献に取り組む団体に寄付をお願いします。

メニューを作成し各店舗に設置

「初日オープンと同時にSNSを見て食べに来られたお客様がいましたよ」と話してくれた

正宗成都麻婆豆腐店せいしゅうせいとまーぼーとーふてん シェフ 唐津義幸からつよしゆきさん

お食事からアルコール、スィーツなど店舗によって内容も寄付金額も異なります

◎寄付ぎふとに関する情報は、高知市市民活動サポートセンターのHPをご覧ください。
https://kochi-saposen.net/gift
◎「飲みもって食べもって寄付ぎふと」の取り組みにご賛同いただける店舗も募集しております。

③お取り寄せで寄付ぎふと

 不要不急の外出を控えた「ステイホーム」中、テイクアウトやインターネットからのお取り寄せでおうち時間を楽しむ人が多くなりました。そこで、まるごと高知さんにご協力をいただき通販サイトからお取り寄せして、寄付ができる仕組みを構築しました。お家で楽しむための商品や大切な方への贈り物を注文するたびに、県内で活動しているNPOや任意団体を応援できる取り組みです。

 また、地産地消(外商)で地元の生産者の応援にも繫がります。

 まるごと高知オンラインショップで商品を選び、クーポンコードを入力するだけで、購入価格の5%が割引になり、さらに5%が寄付される仕組みです。

 高知の特産品をお得に購入でき、社会貢献もできる「お取り寄せで寄付ぎふと」は、ご自宅で楽しむほか、御礼やお中元、お歳暮などのご贈答にもご活用ください。

(うらい)

【クーポンのご利用方法】
①「まるごと高知Online Shop」にアクセス 購入したい商品を選択
②「カートに入れる」をクリック
③商品カート画面にて ・お客様情報 ・配送設定 を入力して、お支払い方法の設定画面へ
 お支払い方法の設定画面の中段に【ショップクーポン入力】の欄がありますので
 クーポンコード[shiminkaigi2022]と入力し、お支払い方法を確定
④購入確認画面でクーポン割引の適用を確認いただき「注文する」をクリック
 これで購入は完了です 割引後の金額をお支払いください

https://marugotokochi.jp
[クーポンコード]shiminkaigi2022
ご利用期間:2022年12月31日まで(期間中何度でも使用可)
*おうちでまるごと高知の商品除く

問い合わせ先

まるごと高知
Online Shopについて

㈱Dorago内
まるごと高知カタログ事務局
TEL:0120-366-210

「寄付ぎふと」について
認定NPO法人NPO高知市民会議
TEL:088-820-1540

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